語りたがり女が語る、少年忍者22人

オタク女が少年忍者のメンバー個人への印象を語る連載

『稲葉通陽』100点の才能に、120点の努力を重ねて

常々この子は只者で無いと感じていたが、決定的に稲葉通陽の才能に驚かされたのは、残暑厳しい9月の新橋演舞場にて行われた『少年たち』を見に行った際の事だった。


まず前置きに。少年忍者を好きになったばかりの頃に見始めたYouTubeなどの動画で、なんとなく「私は絶対この子を好きなる」と己の趣向の矛先が向いたのは、稲葉通陽だった。落ち着いた風貌に予想外の可愛い声も抜群にヒットしたのだが、何より私は彼から醸し出される”育ちの良さ”の虜になった。例えば私は、「ドアはきちんと閉める」だとか、「畳の縁は踏まない」みたいな事を心得てそうな子に弱い。恐らくだけど、稲葉通陽は絶対これらを両親、もちろんお馴染みの”おばあちゃま”から教わっているはず。私にはわかる。きちんとした暮らしの約束事が備わっている子は、身のこなしが静かで美しいのだ。彼の落ち着いた佇まいはここから来ているものなのだろうと、私は強く確信した。これから話す、彼のポテンシャルの根本なのだ。


冒頭の話に戻る。『少年たち』に看守役にて出演が決まった4人、通称・ほみゆゆを見届けるべく向かった新橋演舞場にて、私は稲葉通陽の底知れぬポテンシャルを目の当たりにする事となる。演技経験が少ないという前情報は何だったんだというほど、張りの質が凄まじく良い声が、新橋演舞場に響き渡っていた。セリフの言い方はもちろん、表情の作り方も上手かった。皆から恐れられる看守役の中で、彼の表情からは「この人…何を考えてるんだろう?」という心を読ませない凄みを感じた。観終わった帰り道は、「なんで通陽、あんなに上手いんだろう…」と若干の放心状態だった。後に、この「少年たち」という舞台が始まる前、ほんの少し演技のレッスンを受けたという情報を聞いたのと、程なくして始まった「フェアリーBOYS」という涙なくしては決して見れない大型企画での練習への姿勢とその成果を見て出た結論は、この子には学びの姿勢が備わっていて、”教わる技術”に長けているということだった。学ぶだったり、教わるという事にはとても集中力を用いるし、それを即座に結果に反映させるには余程の理解力が求められるはず。これらをこなす稲葉通陽に、私は直感的に”この子は頭が良いんだ”と思った。

よもや私が把握しきれないほど、稲葉通陽は数々の特技を持っている。楽器演奏(その種類は未知数)、アクロバット。また、この中にダンスや演技も追加されると私は確信している。彼の持つ特技の全てがアイドル活動に生かされるものであるし、何ならそのセンスの良さで、まだまだ増やせる特技は増やしていこうという気合いを彼から強く感じる。流行のものを身に着けるより、新しく出来ることを身に着けることへの関心の方が強いのかもしれない。

ここまで稲葉通陽のポテンシャルについて語ったが、もちろん私は彼の朗らかな笑顔がとても好きだ。まるで陽だまりに咲く花のような笑顔に癒されるのだが、花は根があり、決して枯れぬよう、腐らぬよう、私たちに見えないところでしっかりと根を張って咲いている。その花の在り方に、元ある100点の才能に120点の努力を重ねる彼の逞しさと通ずるものを感じるのだった。